概要

図面から形の構造を生成するモデルの内部表現を利用し、描き方が異なっても同じ部品を探せる類似図面検索を研究しています。

研究背景

機械図面の検索では、入力図面と登録図面の見た目が近いとは限りません。手書きでは線が歪み、CAD図面には寸法線や文字が加わります。見た目だけを比べると、同じ構造の部品を見逃したり、輪郭が似ているだけの別部品を上位に出したりします。

重要なのは、線の接続、部品の配置、穴や段差の関係といった図面の構造です。しかし、構造を人手でルール化すると図面の種類が増えるたびに調整が必要になります。画像から構造を自動的に理解し、検索に使える特徴へ変換することが求められます。

検索対象の図面例

図1 描き方の異なる検索用図面の例

研究内容

本研究では、入力画像から図面の構造表現を生成するモデルを学習します。モデルは最終的な構造だけでなく、生成途中の内部に、線分や部品同士の関係を表す情報を保持しています。この「中間表現」を検索特徴として取り出します。

さらに、元画像から得られる視覚特徴と構造の中間表現を統合します。視覚特徴は全体の外観を補い、構造特徴は寸法線や描画スタイルが変わっても部品の骨格を保ちます。両者を組み合わせ、同一部品の特徴が近づくように学習します。

評価では、検索結果の第1位に正しい図面が現れるRecall@1が従来法に比べて約64ポイント向上しました。構造を直接手作業で定義しなくても、生成モデルが学んだ表現を再利用できる点が特徴です。

構造表現を用いた検索手法

図2 構造生成モデルの中間表現を用いる提案手法

類似図面検索結果

図3 提案手法による検索結果の例

設計図の再利用、類似部品の統合、保守対象の同定など、図面管理にかかる時間を短縮できます。手書きメモから正式図面を探す用途にもつながります。

発表文献

[1]鈴木拓実ほか:「構造生成モデルの中間表現を用いた類似図面検索」, 第32回画像センシングシンポジウムSSII2026 (2026).

[2]藤井絢斗, 林良和, 加藤邦人:「図面の幾何特徴量を用いた類似図面検索」, DIA2025, IS3-12 (2025).