概要
製品の色が変わっても欠陥の形を保った学習画像を生成し、少ない実画像で外観検査モデルを構築する研究です。
研究背景
深層学習による外観検査には、多数の欠陥画像が必要です。しかし製造現場では欠陥の発生数が少なく、製品色や品種が増えるたびに画像を集め直すことは大きな負担になります。そのため、生成AIで欠陥画像を増やす方法が注目されています。
従来の画像生成では、別の色の製品に傷を移そうとすると、傷の形だけでなく元画像の色まで移ってしまうことがあります。これでは実在しない色むらを学習し、検査精度を下げるおそれがあります。

図1 欠陥生成の基準となる正常品

図2 学習に用いる欠陥の例
研究内容
本研究では、Model-Based Classifier-Free Guidanceの働きを周波数ごとに制御します。画像の低周波成分には製品全体の色や明るさが、高周波成分には傷の輪郭や細かな凹凸が多く含まれます。そこで、色に関係する成分の移動を抑え、欠陥構造に関係する成分を強く反映させます。
Cookie、Magnet、Tagなどの実データを用い、色違いの正常品へ傷を生成しました。生成画像が対象製品の色を保っているか、欠陥の位置や形が失われていないかを確認し、生成画像を追加したときの欠陥分類性能も評価しました。
提案法では、青い製品の傷を赤い製品に生成する場合でも、赤い外観を保ちながら傷だけを自然に加えられます。少数の実欠陥から複数色の学習データを用意できるため、品種追加時の撮影負担を抑えられます。

図3 対象色を保った欠陥生成の例

図4 生成画像の追加枚数と欠陥分類性能の関係
実際の欠陥を大量に待つ必要がなくなり、立ち上げ直後の製品や多色展開された製品にも外観検査を早く導入できることが期待されます。
発表文献
[1]佐々ほか:「周波数制御を用いた色違い製品への欠陥画像生成」, 動的画像処理実利用化ワークショップDIA2026 (2026).