現在様々な分野において画像処理の応用が盛んに行われていおり、食品分野においても重要な役割を担うようになりつつある。
最近では、食品の「おいしさ」を評価しようという試みも行われている。
「おいしさ」を決定する要因は単に食品の品質や鮮度だけではなく、調理器具の違いによっても変化する可能性がある。
現在、加熱調理に使われる調理器具は、ガス調理機と、電気を使ったIHなどの電磁調理器がある。
これらの調理機は、加熱方式が異なっているため、加熱される機器への熱の伝わり方も違うと考えられる。
そこで、煮込み料理における鍋内の対流を解析することで、これらの加熱方式の違いが調理結果に与える影響を研究している。
ガス調理器 電磁調理器
本研究では、鍋内部の画像を取得し、それらを用いて鍋内の対流を解析する。
鍋内部の画像を取得するため、撮影には透明な鍋を使用し、鍋内にマーカーを投入する。
カメラの向きと垂直になるように鍋中央を通るレーザースリット光を照射し、対流の様子を撮影する。
この方法により、鍋内のレーザースリット光で照射された断面の様子を撮影することができる。
このようにして得られた画像から、マーカーの密度を観測し、対流の状態を調べる。
対流の速い場合、一様に散布されたマーカーがレーザースリット光の断面を多く通過する。
そのため、マーカーの 密度が高いところほど、対流が速いことがわかる。
電磁調理器とガス調理器による対流の様子をそれぞれ撮影・解析を行ったところ、それぞれの対流に差異が生じていることがわかった。
また、ガス調理器は電磁調理器に比べて対流の偏りが少なく、安定しているという結果を得た。
本研究では、画像処理を用いて対流を可視化、評価することで、調理機器の違いを示し、機器の加熱方式が調理結果に影響を与えることを確認することが出来た。
将来的に、よりよい加熱方式、機器の開発への応用が期待できる。