村瀬王哉

氏名 村瀬 王哉
学年 修士2年
研究タイトル 多次元応答のPLS回帰分析による近赤外物質判別と波長選択
学会投稿歴 【国内会議】
・画像の認識・理解シンポジウム MIRU2019
"AdaBNとAdaINを用いた字種非依存な筆跡特徴抽出法"

・動的画像処理実利用化ワークショップ DIA2018
"多次元応答PLS回帰分析による近赤外物質判別と最適波長選択"

【国際会議】
・International Workshop on Advanced Image Technology 2018 (IWAIT2018)
"Near-IR Material Discrimination Method by Using Multidimensional Response Variables PLS Regression Analysis"

【論文】
・精密工学会誌 Vol.84, No.12, pp.1050-1058 (2018)
"多次元応答PLS回帰分析による近赤外物質判別法の高速化"

内容

 自動運転や運転支援システムを実現するためには,自動車走行環境に存在する歩行者の肌や衣服,障害物となる植物やコンクリート,走行道路上のアスファルトや白線など,様々な物質を判別する必要があります.そこで本研究では,これらから肌,植物,アスファルトの3物質を対象とした物質判別の研究を行っています.
 
 本研究では近赤外帯における物質毎の分光反射特性を用いて物質判別を行っています.分光反射特性は物質の構成成分によって異なり,特に近赤外帯では固有の特徴を持ちます.例えば肌は970nm帯に吸収帯を持ち,植物の反射率は700nmから750nmにかけて大きく上昇し,アスファルトの反射率は650nmから1050nmにかけて徐々に上昇するといった特徴があります.

自動車走行環境 分光反射特性

 本研究では650nmから1050nmまでの近赤外ハイパースペクトル画像から,PLS回帰分析を用いて3物質を判別する多クラス識別器を作成することにより物質判別を行っています.PLS回帰分析は説明変数Xと目的変数Yの相関が最大となるよう圧縮軸を決定することで,多重共線性を回避し,精度の高い回帰式を得ることができる回帰分析手法です.また本研究ではPLS回帰分析のうち,目的変数Yが多次元となる場合であっても適用できるアルゴリズムを用いることで,複数物質の判別を同時に行う多クラス識別器の作成を可能としました.

物質判別処理

 また,PLS回帰分析はVIPという各特徴の重要度を表す指標を求めることができます.このVIPを用いることで物質判別に最適な波長を選択することができます.
 
 本手法を用いて物質判別実験を行いました.(a)に撮影された800nmの近赤外画像,(b)に650nmから1050nmまでの201波長を用いた判別結果,(c)にVIPを用いて選択された4波長を用いた判別結果を示します.

(a) 800nm (b) 201波長使用 (c) 4波長使用