概要
前方カメラの映像だけから人の運転操作を学び、屋外を自律走行する小型移動ロボットを開発しました。
図1 屋外自律走行に使用した小型移動ロボット
研究背景
従来の自律走行は、白線検出、障害物検出、経路計画、制御などを複数の機能に分けて構築します。各機能を調整しやすい一方、システムが複雑になり、一つの誤りが後段へ伝わることがあります。環境ごとに多くのルールを設計することも必要です。
模倣学習は、人が実際に運転したときのカメラ画像と操作量を学び、画像から直接アクセルとハンドル操作を出力します。ただし、通常走行だけを学ぶと、ロボットが道の端へ寄ったような未経験の状態から中央へ戻る方法を知らず、誤差が拡大しやすい問題があります。
図2 CNNとLSTMで加速・操舵を推定するモデル構成
研究内容
本研究では、前方の単眼RGBカメラを入力とするEnd-to-End型の自律走行システムを構築しました。CNNが画像から道路や周辺環境の特徴を取り出し、LSTMが直前までの画像の流れを記憶します。これにより、一枚の画像だけでなく、進行方向の変化や過去の操作を考慮してアクセルと操舵量を予測します。
学習データを集める際、人のハンドル操作に三角波状のノイズを加えます。ロボットが一時的に不安定な位置へ移動し、人が安全な経路へ戻す操作を実演することで、通常走行だけでは得られない回復行動を学習できます。
屋外コースで走行試験を行った結果、30回中23回の完走、成功率76.7%を達成しました。LSTMを用いないモデルより良好で、時間的な情報と回復データの両方が自律走行に有効であることを確認しました。
図3 屋外コースにおける走行結果
複雑な地図や多数のセンサを使わず、カメラと人の実演から走行方策を学べるため、小型搬送ロボットや限定区域の巡回ロボットへの応用が期待できます。
発表文献
[1]阪井啓紀, 加藤邦人:「模倣学習による屋外環境での自律走行」, 画像の認識・理解シンポジウムMIRU関連研究報告 (2023).